かいごのいりぐち
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ケアマネジャーのやりがい・必要価値とは
ケアマネジャーとは、介護保険サービスを利用するには必要な職種、ということはもちろんよく理解していますが、実情は、
●給料: 特定事業所加算を算定していなければ、担当35件で手取り20万円程度が会社として採算が取れる限度。
●資格: ケアマネジャーの資格を取るための基礎資格の1つである介護福祉士は国家資格であるにも関わらず、介護福祉士の資格も基礎資格の一つとなるケアマネジャーは民間資格(国家資格ではない)。
●責任: サービス事業所さん・ご本人様ご家族様・行政さん等から、ケアマネジャーは「便利屋」「何でも屋」「家族代理」と思われている場合もあり、責任や判断を押し付けられることも依然普通にあります。(ご本人様に対する責任や判断(身上監護(身柄の監督と保護)、財産管理(お金はもちろん郵便物やお薬なども含む))はご本人様ご家族様の役割であり、一介の職業人でしかないケアマネジャーは、これらをする役割・立場ではございません。)
●事業所内での処遇: 他事業所(特別養護老人ホームやデイサービス等)併設の事業所では、人手が足りない時(足りていても?)の送迎の運転手、介護職員として扱われることも珍しくないようで、居宅介護支援(ケアマネジャー)業務に専念できないことは珍しくないようです。(ケアマネジャーは書類作成・連絡調整業務が主のため事務所にいることが多く、介護職員上がりで介護実務を行う技術も身につけている人も多いので、会社側からすると「使い勝手が良い」と思われるようです。)
●職務内容: 事務所にいるときは、書類作成・連絡調整が主な業務で、情報を整理・記録・他事業所さんと共有・相談する作業が多いです。1人の利用者さんに対して、3種類の介護サービスが関わっているとしたら、1人のケアマネジャーが30人担当している場合、延べ90事業所さんとの情報の整理・記録・共有をしております。職務が多すぎて、自身の業務遂行能力を超過していたり、ご本人様の生活を守ろう・改善しよう、という思いが強すぎたり、法律や職務・役割に対する知識が少なかったりすると、職務・役割外である身上監護や財産管理をしてしまったりする人もいるようです。また、医療や地域との連携も求められ、介護保険法で定められている業務だけやっていればそれで十分、というわけではございません。
と言ったところです。
仕事だけでなく、家庭や個人的なことも含めた、様々な心的ストレスをうまく解消できていないと、燃え尽き症候群やうつの発症となってしまったりしてしまうので、日常的なメンタルへルスケア・ストレスの発散やストレスの共有がとても大切です。これらが嫌でケアマネジャーを辞めて介護職員に戻る方も少なくないようです。
これらをふとした時に振り返ると、ケアマネジャーのやりがいってなんだろう、と疑問に思う時があります。
そこで、ケアマネジャーとしての自尊心をなくさないように、倫理観を忘れないように、ケアマネジャーとはなんなのか、を再確認してみました。
●介護サービスを利用するために必要な、ケアプランを作成する職種。
●ご本人様を、1つの介護サービス事業所の視点からではなく、介護サービスも含めた日常生活全般を、俯瞰的な視点から見ることで、ご本人様の生活を良い方向に組み立て直す支援をする職種。
●ご本人様ご家族様にとって不足していることがあり、その業務がケアマネジャーの業務ではない場合(利用者の財産管理(金銭だけでなく郵便物等も)や身上監護(身の上の監督と監護のこと 契約書や同意書の記入など)も含む)、日常生活を継続できるよう、気づいたことを情報提供・ご提案したり、担当できる専門家さんへの橋渡しを求められる職種。
だと思います。
※このあたりの知識を持たないご本人様ご家族様や事業所さん、医療職や行政職などから、「なぜケアマネジャーなのにしないんだ。」「こんなちょっとのことをなんでやってくれないんだ。」「あなたは何の権限があってここにいるんだ。(言外に「どこの馬の骨だ」という侮蔑が含まれていることもございます)」「やってくれたっていいだろう。私じゃできないんだから。」などと言われたり、いわれのないお叱りを受けることもございますが、それはケアマネジャーの業務ではないことを、根気良く、めげることなく、たとえ相手の方が(認知症や精神疾患や上級国民で)理解できない方・理解する気がない方だとしても、それでも都度ご説明するしかない、とてもしんどいことだけど続けるしかない、それでもし心が壊れそうになったら「担当変更」という助け舟をお願いしてもいいんだ、のだと約20年ケアマネジャー歴で最近ようやく気付けました。
年収や職業・年齢・お立場など、様々な方と接する機会がございますが、高給取りだから、年配だから、会社では役員だったから、といって人間性ができているとは限りません。
誰も代わりには解決してくれません。しんどい時は、自分のしんどさを幾らか一緒に背負ってくれたり、客観的に今の状況を交通整理してくれる、信頼できる他のケアマネジャーに愚痴をこぼしましょう!
ご参考までに、私の感じるケアマネジャーのやりがい・必要価値は、
●ご本人様の生活全般を俯瞰的な視点から見ること、気づいていないリスク等も含めてそれらも予めお伝えするとともに、実際に発生したときの対策を講じておくことで、ご本人ご家族様が、これからもご自宅での日常生活を続けられるように支援する。
●ご本人ご家族様は、介護業界はもちろん、ご自身のご病気についてすら正しい情報を持ち合わせている方はほぼいらっしゃらないので、様々なたくさんの情報を持っているケアマネジャーが継続して支援していることで、より良い日常生活を送ることができる。
●ご本人ご家族様が出来ない場合は、ご親族や身元保証サービスなどを利用することも有効(導入にかかる時間はとてもかかるが)。それでも解決しない場合は、包括さんや行政にご相談をすることで巻き込んで、お互いに広く浅く責任を分担できるような協働ができること。
と思われます。
もちろんこれは、私個人が感じているだけのことですが、これらのことが、皆さんがこれからもケアマネジャーを続けられる一助・きっかけになればうれしいです。
なかなかケアマネジャーは人様から褒められないので、ときにはご自分も褒めてあげましょう。それだけでも、数滴ですが心の栄養になると思います。食べ過ぎ飲み過ぎはお体に毒ですので、ほどほどにしましょう。